では、アスペルガー症候群を克服するための最後のものとして、「社会技能訓練」をご紹介します。
これは名前の通り、本人が十分に社交的な行動をとり、周りと仲良くできるようになるためのトレーニングのことで、認知行動療法の流れを汲むものです。カタカナで表記すると、「ソーシャルスキルトレーニング」と言います。
アスペルガー症候群の子供は、他人を傷つけてもなかなかその意味を知ることが出来ません。そこで、同じ悩みを抱える人が集まって、解決策を導き出すのが「社会技能訓練」の目的です。
ここでいう「ソーシャルスキル」とは、「他人と円滑にコミュニケーションをとり、社会的役割を十分に果たせること」を指します。そのために必要となるのが「自分が思っていること・考えていることをはっきりと伝え、他人の話もきちんと聞けること」です。ソーシャルスキルトレーニングはその段階から訓練を始めます。
そして、自分で思っていることをアウトプットし、他人の反応を見ることにより、自分の行動の意味を学ぶのです。
トレーニングは受身ではなく自分から参加し、集団の中で存在することによって学んでいくものです。よって、ここから得られるスキルは絶大なものだと期待できます。お互いの欠点を指摘したりせず、良かったところを認め合って成長をしていくので、レッスン自体もとても楽しくて意味のあるもので成り立っています。