栗原類も告白 注意欠陥障害「ADD」の症状や治療法を医師が解説


先日、モデルで俳優の栗原類さん(20)が子どもの頃の注意欠陥障害(ADD)を告白しました。


発達障害の一つですが、一体どのような障害なのでしょうか?また、周りの人は、どのようにして接してあげれば良いのでしょうか。



医師に聞いてみました。


■ Q1 栗原類が注意欠陥障害(ADD)とは、どういった障害なのでしょうか。


注意欠陥障害とは発達障害のひとつで、アメリカ精神医学会による病名を和訳したもので、もともとの名称をAttention Deficit Disorder in Adults といい、ADDと略されます。先天性の障害で、衝動性や不注意などを特徴とします。これに多動性を伴う場合は、ADHD(注意欠陥多動性障害)と呼ばれます。



■ Q2 どのような症状がでるのでしょうか。


症状としては、

・一つのことに一定時間集中することが出来ない
・忘れ物やケアレスミスが多い
・物事を順序立てて行うことが難しい
・周囲からのわずかな刺激ですぐ気が散ってしまう

…といった特徴があります。
多動性を伴うADHDである場合には、

・じっとしていられない
・教室などで授業の間、座っていられない

などが挙げられます。いずれも幼児ではごくふつうにみられる行動ですので、学齢に達した頃、学校での行動上の問題を指摘されて受診、診断されることが多いようです。



■ Q3 原因としてどのようなことが考えられますか。


先天性の障害であり、発症の明確な原因や機序は明らかにされてはいませんが、遺伝的な要因に加え、前頭葉の機能不全やドパミンやノルアドレナリンといった脳の神経伝達物質の機能が不十分であるために、脳内での情報伝達を十分行えないことが原因として考えられるのではないかと言われています。



■ Q4 治療法はあるのでしょうか。


ADDを完全に治す、ということは現状難しいですが、早期に診断を受け、家庭や学校などと協力しながら有効な介入を行うことで、患者さん本人がより充実した生活を送れるようになることを目標とします。

治療法としては、認知行動療法と薬物療法の組み合わせで行われることが多く、認知行動療法としては日常生活場面の状況に応じて問題を解決するやり方を練習する方法(SST、社会生活技能訓練)などが有効と考えられています。
また、薬物療法としては、ストラテラ、コンサータ、リタリンが主に用いられています。



■ Q5 ADDによる二次的被害として、どのようなことが考えられますか。


ADDの患者さんは、その特徴的な行動パターンなどにより、周囲から孤立したり、攻撃のターゲットになりやすい傾向があり、うつ的になったり、反抗的・暴力的になるなどの行動上の問題を起こしやすいと考えられます。
二次的な被害を防ぐためには、身近に心から信頼できる理解者がいることや、患者さんにある程度適した環境を、出来る範囲で作ってあげることも大切ですね。



■ 医師からのアドバイス


周囲の方は、患者さんの障害による特性を理解し、頭ごなしに叱ったり、嫌味を言ったりするのではなく、わかりやすい言葉で具体的に援助をすることが大切です。ADDの患者さんは時として何かに非常に秀でた能力を持つこともあるので、得意な部分をほめ、伸ばすような接し方が出来れば一層よいでしょう。

(監修:精神科 吉田先生)


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