応用行動分析①

ちょっと敷居の高そうな対応方法ですが、子供のためには効果があります。今回は「応用行動分析」の理論を用いた対応方法についてご説明します。

ここでは、何か問題が起きると、「あらゆる行動にはその原因と結果が存在し、その原因を環境の中から探り出して分析を行う」といった観点が支持されています。

例えば、小さな子供が泣いているとします。さてここで、保護者の方は子供がどうして泣いているのかを考えます。抱っこして欲しいのかもしれないし、ご飯が欲しいのかもしれない。しかし、試しに抱っこしてみたけれど泣き止まない。そうすると、保護者の方はご飯をあげます。そこで子供はようやく泣きやみます。

ここで、子供はお腹が空いていて泣いていて、これが行動の原因となります。そしてご飯をあげたら見事に泣き止みました。ご飯をあげることによって泣き止んだことが、最終的な結果となります。

こうして行動の原因と、原因に対処することからの結果をもとに、保護者の方は子供への対処法を学んでいけます。これが、応用行動分析を用いた育児法です。

こういうことは、臨床心理士や医師が一緒に考えてくれたりもします。しかし、専門化の知識を拝借しさえすれば簡単に症状を克服できるわけではありません。忘れてはならないのは、保護者の方が子供に気を配ることです。日常的にそばにいて、子供のことを一番よく理解しているのは保護者の方だからです。

応用行動分析②

では、「応用行動分析」とは実際どのように行うのかを見ていきましょう。

「応用行動分析」を用いた子供の療育には色々とあり、中でも「ブレインストーミング」と「トークンエコノミー」を使ったものが有名です。今回は、2ページに分けてそれぞれをご説明していきます。では、まずは「ブレインストーミング」を用いた応用行動分析についてご説明します。

子供がアスペルガー症候群を抱えているとわかると、子供の毎日の行動に振り回されてしまいがちです。しかし、ここで一度冷静になり、子供の行動を分析していくのが鍵となります。

子供の行動をノートなどにまとめ、その中から子供が好んで行うことを探してみます。そこで、それに合わせて、「子供が好きそうなもの」を推測してみてください。そこから推測できる「子供が好きそうなもの」は、保護者の方の立場にはあまり好ましくないものになる可能性がありますが、それはまだ気にしないようにします。

ここで得られるデータは、その後に療育を行うために非常に重要なものとなります。保護者の方が子供に言うことを聞いてもらいたいとき、聞いてくれたときの「ごほうび」として効果的なためです。「子供が言うことを聞くからって、簡単にごほうびをあげていいのか」と思われるかもしれませんが、こういうステップを重ねることによって子供はしていいこと、してはいけないことを学んでいきます。

ものを使った「ごほうび」をあげるのにちょっと気が引けるなら、スキンシップでもかまいません。

応用行動分析③

次は、もう一つの応用行動分析のやり方についてご説明します。

アスペルガー症候群の子供を療育する場合、子供が何か問題を起こしても叱るのはタブーです。確かに、問題行動の対象となった相手のことを考えると、叱らなければという気持ちは沸き起こってきます。しかし、残念なことで、ここで叱っても子供はどうして叱られるのかわからないからです。むしろ、「子供は悪いことをしていないのにどうして叱られなければいけないの?」と、パニックに陥ってしまうのです。

ですから、アスペルガー症候群の子供に教育をする場合、とにかく冷静にする必要があります。そこで、「トークンエコノミー」の手法を用いたやり方をご紹介します。

ここでは、子供をほめて問題行動を減らしていく、というやり方に従います。ほめたり好きなものを与えながら子供に学ばせていく、というのは、前のページのブレインストーミングでもご紹介しましたが、トークンエコノミーは悪いことをしたときの対処も考えます。

子供の好きなものをごほうびとして療育すると、子供はだんだんと問題行動をなくしていきます。しかし、それだけでは十分ではなく、問題行動を起こすこともあります。

そのときは、叱らずに、「それをしてはいけないよね。だから、あなたの好きなものをあげないよ」と、ごく冷静にさらっと言ってのけましょう。声も上げず、叩きもしないやり方ですが、子供はがっかりしてくれます。この冷静さが子供を学ばせる鍵となります。

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