アスペルガー症候群には、治療法は確立されていません。しかし、一つ例外があります。その例外の治療法が、「心理療法」です。
これは、医学的な知識を用いた「治療」と言うよりは、むしろ「カウンセリング」に近いものだと考えられます。しかし、実際の心理療法でアスペルガー症候群を克服する手立てを模索していくので、それなりに本格的なものです。
目的としては、「アスペルガー症候群を抱える子供の問題を整理・理解し、子供の目線で彼らが引き起こす行動に焦点を当て、振り替えさせながら改善を目指す」、となります。実際にアスペルガー症候群を抱える子供の考えをしっかりと尊重しながら、どうしたらもっと問題なく生きられるのかを一緒に考えていきます。
この心理療法を行うには、治療をする側と本人が対峙する必要があります。そこで子供に幼稚園や学校で起こっていること、嫌だと感じたこと、辛かったことを話してもらいます。
治療を行う医師やカウンセラーは、極力子供の立場になって治療を進めていくので、心配をしなくても大丈夫です。学校の先生や保護者の方は、子供の問題に対して「自分が悪いでしょう」「どうして周りの子供に気を使えないの?」と、子供の言動をどうしても責めてしまいます。しかし、ここでの治療する側の人間がそういった態度をとるのは絶対NGです。子供の気持ちに共感的理解を示し、子供との信頼関係を失わないように努めます。