大人になってから初めて診断されるケースもある

アスペルガー症候群は、子供のときは発見されず、大人になって初めて医者にかかり診断される人もいます。

 

友達ができない、一生懸命やっているのに仕事がなかなかうまくいかない、こういった理由からアスペルガー症候群を疑い、受診する人がいます。
社会的に立派に生活している人はいますが、そういう人でも大きな問題はなくても悩みや葛藤を抱えている人は多いです。

 

もちろん、診断の結果、本当にアスペルガー症候群の人もいますが、そうでない場合も少なくありません。
ただ、生活する上で何かしらの違和感を覚える人が多いようです。

 

アスペルガー症候群は、発達の偏りや、独自の行動特性がその特徴です。
発達の過程で、つまり子供の時に、何らかのアンバランスさが現れます。
しっかりと成長するためには、早期発見・早期介入がとても大切です。

 

子供が診断されることで親が気づくというケースもあります。
アスペルガー症候群には、家族性というものがあります。
自分の子供が診断されることで、自分自身も同じような特性を持っていたことに気付く親もいます。

 

いずれにせよ、大人になってからより子供の頃に診断される方が望ましいことは言うまでもありません。
悩みや葛藤も軽減できるケースが多いからです。

就労のために必要なこと

多くのアスペルガー症候群の人は、自立し社会生活を送っています。

 

そのためには、人と付き合う技術、ソーシャルスキルが必要です。
就職して社会に出ること、人間関係でつまずくことが多いです。
相手に嫌な思いをさせるつもりはないのに、不快な気持ちにさせたりパニックを起こして、周囲と摩擦を起こしてしまうことは少なくありません。

 

ソーシャルスキルとは、日常のあいさつ、知人友人上司同僚部下に声をかける、相手の気持ちを察しながら接する、というマナーのようなものです。
なるべく早くからソーシャルスキルを高めるトレーニングを取り入れ、社会への適応力を育みましょう。

 

進学・就労については早めに考えておくことが大切です。
自分にあった就職をするためには、中学生や高校生の頃から、将来はどのような方法で収入を得ていくのか、親子で話し合いましょう。
学校選びもその点を考慮します。

 

勉強が好きで大学進学も考えている場合は、就労支援よりも進学率の高い高校を選んだ方が良いです。
一方、就職を考えているのなら、工業高校などに進む、という選択肢もあります。

 

子供の希望を第一に聞いて進路を決めましょう。
くれぐれも親の希望を押し付けることの無いように気をつけましょう。

一般社会で活躍する

アスペルガー症候群の人は、定型発達の人と同じように、一般企業の採用試験を受けて、同じように仕事をしている人が大勢います。
専門的な知識や技術を身につけて、高度な仕事をこなす人が多いです。

 

しかし、得意不得意があることも確かです。
仕事の内容によっては、うまくこなせない内容もあるので、仕事の選び方が重要です。

 

アスペルガー症候群の人は、時間や決まりなどの一定のルールを守り、繰り返しの作業を苦もなくやり通せる傾向があります。
また、高度な専門知識を身につけている人もおり、システムエンジニアや大学の講師、文章の校閲などは向いていると言えます。

 

また、好きなこと、得意なことは必ずしも仕事にする必要はありません。
好きなことを仕事にしていると、趣味で息抜きすることができなくなるかもしれません。

 

もし、本人が仕事について愚痴をこぼしていたら、家族の人はしっかり聞いてあげる、もし離職してもそれを失敗と捉えないよう支えてあげることが必要です。

 

職場において支える場合は以下の点を念頭においてください

・職場環境を整える

集中しやすい雰囲気をつくり、音・におい・明かり等にも気をつけます。

 

・良い面を見つける

遅刻することがない、時間をきっちり守る、反復作業を丁寧に続けている、など良い面をどんどん評価します。

 

・対人関係に配慮する

休憩時間や食事時間に、無理に同僚と話さなくてもいいようにするなど、安心できる対応をとります。

 

自立するために必要なこと

アスペルガー症候群の人が、社会的に自立するためには、仕事をしてお金を稼ぐことのほかに、家庭内での生活力も必要になります。
一人暮らしをする場合は、掃除をしたり、食事をつくったり、洗濯をしたりと、やるべきことがたくさんあります。

 

こういった家事全般のほかにも、危機管理の習慣を身につけておく必要があります。
例えば、火の元の管理や、戸締りをしっかりするなど、トラブルにみまわれない生活を送るためには、こうした知恵を学んでおかなければなりません。

 

こういったことは、アスペルガー症候群ではない人もそうですが、突然できるようになるわけではありません。
日々の生活の中で、繰り返し練習し、だんだんと身についていきます。

 

親元を離れて、一人暮らしをするかどうかは、子供本人が決めることです。
子供がもしそう決めたのなら、親御さんは背中を押し、協力してあげてください。

 

アスペルガー症候群の人が一人暮らしをしっかり営めることができたなら、それは本人にとってこの上ない自信になります。
仕事など他の面でも良い影響が現れるでしょう。
また、一人暮らしの経験は将来の結婚生活にも役立ちます。

 

アスペルガー症候群ガイドより


ランキング


    
   

ただいま入会キャンペーン実施中!

★関連書籍34冊の紹介はトップページに掲載しています。

幼児教育