周囲の大人が総合的に支える

アスペルガー症候群の子供に対しては、周囲の大人が総合的に支えることが大切です。

 

家庭と学校、かかりつけの医師や福祉センターなどの専門機関の連携は、アスペルガー症候群の子供の発達を支援する上で、重要な条件です。
子供への理解を深めるために、子供の入学前から情報を交換しあう連絡・連携がとれれば理想的な形といえます。

 

家庭には、子供についての幼い頃からの情報があります。
学校は集団生活の中における子供の状態、つまり社会性が最もよく見える場所です。

 

そして、そのどちらも一人の子供の顔であることは間違いありません。
家族は子供の学校での様子について、担任教師の話で知ることが多くなりますし、学校は入学前の子供の特性について、家族に聞けば良いです。

 

ですので、親、教師を交えて話し合いをすることは非常に大切です。
学校と家庭という、違う立場からそれぞれ意見を出し合って、支援の方針を決めることがあります。

 

専門機関、特に医療機関には、家庭・学校それぞれからの情報が集まります。
子供の状況や問題を、第三者の立場から客観的に整理して、子供への対応を示すことができます。

 

それぞれの立場で、それぞれにできることがあります。
周囲の大人達が、子供が適切に成長できるようサポートしてあげましょう。

 

学校と保護者がケンカしないように

アスペルガー症候群の子供を持つ親が、子供の特性に気付いている場合は、学校ではできる範囲で適切な支援を行います。
学校と保護者は連携して、学校の実態に即した支援内容を検討することが必要です。

 

しかし、コミュニケーションがうまくいかないケースもあります。
保護者の要求がエスカレートし、学校にできないことを求め、応じられないと学校を責めたりします。
また、学校が適切な支援をしたいと考えていても、保護者があまり積極的でなく、子供への支援が進まないことがあります。

 

学校の教師もアスペルガー症候群の子供の対応にどうすればよいか困っている場合があります。
親があまり協力的でなく、周囲に相談できる教師仲間もいない状態では、担任の教師がいくら孤軍奮闘しても、うまく対応することは困難です。

 

また、教師が手を差し伸べるのは全ての子供に対してです。
子供達は発達障害だけでなく、そのほかにさまざまな悩みを抱えています。
教育的支援が必要な生徒とは、全ての学校児童のことです。

 

子供への支援以前に、学校と家庭が喧嘩していては全くうまくいきません。
適切な支援の機会が失われ、子供の利益の損失になります。
子供のためには、学校と保護者が協力し合って取り組むことが必要です。

小学校と中学校の連携を緊密に

アスペルガー症候群の子供の支援として、小学校と中学校の連携を緊密にすることが大切です。

 

小学校まではしっかりとした支援体制が組まれていたのに、中学校にあがって環境ががらりと変わってしまう・・・ということが多々あります。
小学校と中学校の連携がうまくいかないことも、よく見られます。

 

適切な支援を引き続き受けられるようにするには、進学先の中学校ともしっかりと連携を図る必要があります。

 

中学校側に、アスペルガー症候群のことを理解してもらいたい場合、特別支援教育コーディネーターや、保護者が率先して中学校に連絡を取りましょう。
なお、中学校側の体制を知るためにも、特別支援教育コーディネーターが指名されているかどうか、校内委員会の設置の有無などを確認してみましょう。

 

小学校から中学校への連絡は、小学校の職員から、または保護者が取ってもかまいませんが、小学校側から連絡を取る場合は、必ず保護者の了解を得てからになります。
連携は、資料などに簡潔にまとめて渡すようにするといいでしょう。

 

小学校

集団生活の中で、子供の特性や苦手としていることを知らせます。

 

中学校

小学校側からの連絡を受けて、子供が入学する前に対応を検討します。

特別支援教育

2007年に学校教育法が改訂され、特別支援教育が始まりました。

 

従来の制度では、アスペルガー症候群、自閉症、LD、AD/HDといった発達障害の子供に対する教育的対応は定められていませんでした。

 

しかし、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒が6%程度の割合で通常学級にいるという文部科学省の全国実態調査結果があきらかとなり、法整備が進みました。

 

また、これらの発達障害の症状が多様化し、従来の枠組みに子供たちを当てはめて支援するのが困難になってきたという背景もあります。

 

特別支援教育では、子供一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な対応を図ることを目標としています。

 

アスペルガー症候群の子供の場合、通常学級に在籍し必要に応じて個々にサポートが受けられる通級教室に通う、特別支援学級に在籍して専門的な支援を受ける、といった選択肢があります。

 

この特別支援教育により、アスペルガー症候群の子供は以前より過ごしやすくなったと言われていますが、それでも子供の間は、親や教師など、周囲の大人のサポートが必要であることは言うまでもありません。
根気よく子供に接していきましょう。

 

 

アスペルガー症候群ガイドより

将来の道は本人の意思を尊重する

アスペルガー症候群の子供の将来の道は本人の意思を尊重してあげましょう。
学校選び、進学先選びは、子供が行きたいと思うようなところを選ぶのが基本です。

 

保育所や幼稚園、小学校を選ぶときに、いくつか候補があるときは、運動会や学芸会などに連れて行き、子供の様子を見て決めるとよいでしょう。
中学校は特に多感な時期に重なるため、自由な雰囲気でさまざまな価値基準がある学校があればそれを選びたいものです。

 

高校はより多くの選択肢があります。
公立や私立のほか、工業高校や商業高校など専門課程のある高校、単位制や通信制などのサポート校もあります。
音楽や美術が得意な子供なら、芸術教育を重視している学校を選ぶ選択肢もあります。
大学への進学を考えている場合は、進学校を受験するのもよいでしょう。

 

受験をするときには配慮が必要です。
アスペルガー症候群の子供は、自己評価が低いケースが多いため、受験に失敗した挫折から、全てに自信を失ってしまう場合があるからです。
受験が全てではない、失敗してもいいと親が精神面をサポートしてあげてください。

 

仕事に関しては、本人の得意な分野や好きなことを活かせる職業に就けるようサポートしてあげましょう。
その上で、形式や固定観念にとらわれず、幅広い視野で人生を考えさせるとよいでしょう。

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