近年増加…集中できない障害「ADHD」をもつ子との接し方とは


現代、発達障害の子どもが増えていることが社会的な問題となっています。発達障害にもいくつか種類がありますが、その中でもADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもの扱いに悩まされる方は多くいます。ADHDの子どもは、様々なものに注意が移ってしまい、物事に集中して取り組めません。

もし、自分の子どもや身の回りの人がADHDであったらどう接すれば良いのでしょうか?

中学校の養護教諭という立場から長年多くのADHDの生徒と関わって来た中里幸子さんに教えてもらいました。

 

■ADHDの子どもの特徴


小中学生の頃、授業に集中できない所謂“落ち着きのない子ども”がクラスにいた覚えはないでしょうか? そのような子どものほとんどがADHDであると言えます。ADHDの生徒は授業中でも様々なものに目がいってしまい、普通の生徒と同じように授業を受けることが困難です。現在、1クラスにADHDの子どもが6%いるとの調査結果が出ているそうです。



 

■ADHDの子どもとの接し方


ADHDの子どもと接するためには、以下の注意点が必要となります。


(1)教室、物や人の位置の工夫

あるクラスにはADHDの生徒がおり、先生をはじめ他の周りの生徒達もその子の扱いに困っていました。しかし、ちょっとした工夫をしたことにより、ADHDの子どもも他の生徒と同じように集中して授業に取り組めるようになったのです。

普通、教室では先生が黒板を背にして授業を進めます。たいていの教室の黒板には授業内容の板書だけでなく、日直の名前や、黒板の上には学級目標が貼ってあることもありますよね。

ADHDの子どもは授業の際、先生と黒板だけでなく、その黒板の周りの学級目標や日直の名前など、授業に関係のない他の情報にまで目がいってしまいます。様々な情報が入り込んでくることにより混乱をおこし、授業に集中できなくなるのです。

このことを逆に考えます。授業に関係ない情報物を全て黒板付近から取り払えば良いのです。その教室では授業以外の情報の張り紙類を教室の後ろへ移動させました。これで、ADHDの生徒が前を向いても、授業内容以外の情報はなくなるので、集中して授業に取り組めるのです。

授業中だけでなく、ADHDの生徒と話したいとき、生徒の向いている方向に多くの情報がある場合、さりげなく生徒の後ろ側へ周り、その生徒を何も無い壁側に向かせます。これで、話の途中でも余計な情報が入り込んでこないので、スムーズに会話ができます。

 

(2)周りの気遣い

ADHDの子どもは、急な変化に対応できません。例えば、時間割の予定では1時間目が国語だったとします。しかし、先生の都合によりその日の朝、急に1時間目が体育になり、すぐに体操服に着替えて体育館へ行かなければならなくなったとします。そうするとADHDの生徒は混乱して、体育の授業に行けません。

もし、急な変更があった場合「次、国語の予定だったけど、体育になったよ。体操服に着替えて体育館に行けるかな? もし無理だったら少し遅刻してもいいからね」と声をかけ、気にかけてあげると混乱を防ぐ効果があります。

 

ADHDの子どもと接するには少しの工夫と周りの気遣いが必要です。よく理解し、少しでも周りの子どもとなじめるよう接してあげてくださいね。

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