It Mamaから引用 2015年10月26日
世間一般でも広く認知されてきた発達障害。知的に大きな遅れはないけれども人とは違う脳の仕組みを持つ子ども達は、限りなく“普通”に近いからこそ、親の期待値が高くなってしまうことがあり、子どもたちが苦悩することがあります。
そこで今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が“発達障害の子を持つママ”にお伝えしたい、発達障害の子どもとの接し方についてお話したいと思います。
■限りなく「普通に近い」子ども達4つのタイプ
大きく分けて以下の4種類あります。
(1)学習障害児(LD児)
(2)注意欠如/多動性障害(AD/HD児)
(3)アスペルガー症候群
(4)高機能自閉症
よくお喋りはするけれど文字が読めないLD児、コミニュケーションがうまく取れず友達関係がうまく作れないアスペルガー症候群や高機能自閉症などの広汎性発達障害の子ども達は、見た目には分かりづらく、理解されにくいのです。
■困っているのは子どもではなく“親”
「お友達と一緒に遊ばないと楽しくないだろう」「他の子どもたちと同様に何でもバランスよく出来るようにならないと可哀想だ」
実はそう思っているのは“親だけ”ということもあります。
当人にとって、子ども達が大勢いる空間は“苦痛な騒音の場”以外の何物でもなかったりします。「地面の石ころなんて見ていないで皆と遊びなさい!」と無理やり背中を押されても苦痛です。何でもそつなくこなすよりも自分が得意な分野に没頭していることが、この上なく楽しかったりするのです。
こうやって我が子の幸せを一番に願っていたはずなのに、いつしか子どもを追い詰め辛い目にあわせていることがあります。
■療育も子どもベースに進めて
“療育”とは“障害を持つ子どもが社会的に自立することを目的として行われる医療と保育”です。そこに通わせる親も数多くいます。
しかし、この時、親が願ってはいけないことは「健常児と同じことが出来るようになる」「出来るだけ健常児に近づける」ことです。
突発性、衝動性が高い注意欠如/多動性障害(AD/HD)の子が、もし欲しいものがあったとき、いきなり奪ったり相手を突き飛ばすのではなく“貸してほしい意志を言葉で示すこと”が出来るようする。このような訓練はたとえ障害を持った子であっても社会生活を送っていく上で必要です。
そこを練習するための訓練が、“療育訓練”です。
ですが、それを忘れて必要のないことまでやってしまう親や訓練のスタッフがいます。
例えば、モーター音に聴覚過敏のある自閉症児が、公衆トイレに設置されているハンドドライヤーの音に恐怖心を持っている子だとします。その音に慣れさせようと訓練した結果、外出先でトイレに行くことが出来なくなり、外出そのものを嫌がるようになってしまうこともあります。
こんな時はハンドドライヤーがないトイレに連れて行くか、多目的トイレに入り絶対に他人が急に使うことのない環境で用を足させるなど工夫して回避させてあげればすみます。ハンドドライヤーを使えないと生きていけないわけではないですよね。
親が普通の生活を出来るように頑張れば頑張るほど、子どもは辛い思いをしていくことを忘れないでください。
■親の気持ちは伝わる
子どもを不憫に思い、親が眉間に皺を寄せながら頑張っている姿を見ている子どもは、次第に“自分のせいで親が苦しんでいること”を察知します。そうすると、やたら子どもの口から「ごめんなさい」と謝る回数が増えます。
更に「ママを困らせる自分は悪い子、存在価値のない迷惑な子」と考え、自分自身を否定するようになります。これが思春期以降、鬱、引き籠り、リストカット、他害など様々な心の問題を発症させることになり、親子とも更に苦しむことへと繋がってしまうかもしれません。
いかがでしたか?
「子どものために、子どものために」と思っていたことが、いつの間にか“ママ自身のために”となっていませんか?
みんなと同じことが出来るようになってほしいと思うことは、親心ですから仕方がないことでしょう。しかし、そこで無理して子どもを変えようとしてはなりません。変わるべきは“親自身”なのです。
「この子の障害が治りますように」と神棚に祈る行為は止めましょう。「この子の障害を私自身が受け入れ子どもも私も幸せになれますように」と願いましょうね。